TOP > 特別栽培米の眞木優 日記 > 7/22【冠水解消と大豆の生育】
気になる大豆を朝一で観て来ました。
「麦藁の吹き寄せ」が被った場所を除き、希望が持てる状態です。
大豆さん頑張って。と声を掛けてきました。
*畔の斜面迄、水没していた地域の圃場は、丸1日位で、水が引きました。
次の冠水中と水引後の画像をご参照くださいませ。
今朝の特別栽培米の田んぼの画像も添えました。
〔備忘〕
潮の干潮(昨日17:29、今朝5:56)に伴い、水引に拍車が掛かりました。
①冠水中
②水引後
③今朝の特別栽培米の田んぼ
④令和元年の潮汐表(7月)…黄色マーカー参照
〔お勉強〕出典:酒田農業普及課 H23.6.23 酒田、飽海の大豆情報(緊急号)
23 日未明から、降雨が続いています。23 日 2 時~16 時までの 15 時間の雨量は 156.5mm となっています。
川、排水路も増水し、管内の ほとんどの大豆ほ場で浸水、1 割程度のほ場では冠水しています。
大豆は、湿害に大変弱い作物です。排水が取れるようになったら、 できるだけすみやかにほ場内の停滞水を排水しましょう。
冠水・浸水はどのくらい大豆にダメージを
与えるか
①山口県の試験事例 第 1 葉、第 4 葉期の大豆は冠水期間が 24 時間までは、特に異常はみられなかったが、こ れを越すと衰弱が始まり、48 時間たつと植物体の一部が腐死した。(ただし水温 30℃前後)
②熊本県の技術対策 播種直後の冠水では、 降雨期間中は、酸素供給が出来るので腐敗はしないが、天気の回 復後冠水したままの状態で急激に温度があがればほとんどの種子は腐敗する。 可能な限りの排水対策を行なうとともに、土中の種子の発芽力を確認して播きなおしの判 断をおこなう。 発芽期以降冠水した場合では、子葉または初生葉が展開しておれば、冠水被害は播種直後 に比べると少なくなる。水田転換畑大豆の生育初期の冠水被害程度に関する試験事例は少な いが天候の回復後のすみやかな排水対策を徹底する。
③愛媛県の技術対策
(1) ほ場が冠水した場合はできる限り排水に努める。
(2) 土壌の乾燥を待って、中耕・培土等により草勢の回復を図る。
(3) 回復の見込みのない場合は、播きなおすか野菜等への転換を図る。播きなおす場合は、 フクユタカであれば 7 月中旬ごろまで播種可能である。その場合は播種量を10~20% 増やす。
(4) 生育初期に湿害をうけた大豆は、その後の生育量が劣り、雑草が繁茂しやすく中耕・ 培土だけでは抑えることができないので、登録のある茎葉処理剤で除草する。
④福井県 7 月中旬に出した技術資料より 大豆が完全に水没した場合でも、数時間程度であれば、展開葉が枯れて枯死したようにみ えても、やがて新葉が出てきて回復する可能性がある。
植物体が水面上に出ている場合は1 ~2日程度浸かっていても耐えることができる。
しかし、それ以上の浸・冠水では根や根粒の呼吸が阻害され、立ち枯れ性病害の発生も起こりやすくなり、2 日を越える浸・冠水では40%以上減収するとされている。
したがって、 排水路等の水が引き次第、できるだけ早くほ場の排水に努める。
・暗渠排水があれば、ふたを開け、地表の排水溝からも速やかに排水する。
・部分的に水が停滞している場所があれば、溝を掘って排出する。
・枕地培土が水をせきとめている場合は、水がたまっている部分を切り通す。
・水害で泥水が流入して、排水溝が埋まっている場合は排水路への落とし口周辺などとりあ えず主要な部分だけでも溝をさらって排水に努める。 培土が完了していない場合はもちろん、既に実施したほ場であっても、葉の黄化が見られ る場合には土壌水分が下がり次第すぐに培土を行なって、新根の発生を促す。本来開花が始 まるこの時期の培土は避けたいが生育が良くない場合には生育の回復や除草のためにあえて 培土を行なうことも必要である。
湿害による黄化や生育不良が見られる場合は培土と同時に窒素成分で5kg/10a 程度の 追肥を行なう。施用量が多いので尿素のような高成分の肥料を使うと良い。
⑤山形県農林水産部 農作物気象災害対策指導指針より H6 3月 冠水時間と被害歩合 冠水時間 3 6 12 24 36 48 60 72 本葉 1 葉期 27 28 32 39 47 54 61 69 本葉 4 葉期 57 59 61 66 72 77 82 88 S57 北海道農業試験場 品種 キタホマレ 冠水及び停滞水 48 時間 ポット試験・水道水
⑥佐賀県の技術資料より 土壌水分と出芽率(農研センター) 大豆種子の水浸時間と出芽率(農研センター)
土壌水分(%) 出芽時間 出芽率(%) 水浸時間(H) 出芽率(%) 57 89 100 0.0 95 70 83 85 0.5 85 89 54 42 1.0 47 100 70 10 1.5 38 3.0 19 この危機をどう乗り切るか
~対策について~
上記の事例や技術対策から読み取ると、大豆が冠水・浸水に耐えうるのは1~2 日程度であり、特に 播種が遅れた出芽前の大豆については、今後出芽率の低下が懸念されます。
対策として
① できるだけ速やかに排水を行なう。 大豆の根を湿害から守るため、少しでも早く培土を行なうために、できるだけ速やかな排 水を行ないましょう。
② 土壌の乾燥程度をみながら培土を行なう こねすぎては逆効果ですが、土壌の乾燥をみながら培土を株元までキチンと行ないましょ う。寄せられた部分から不定根が出て大豆の活力が増します。追肥を行なっている事例も ありますが、まだ葉令が小さいので、追肥は行なわない方が良いと思います。
③ 出芽してこないほ場について 土壌水分が多い場合、大豆の発芽率は極端に下がります。早急な排水対策を行い、発芽率 の向上に努めましょう。極端に発芽率が下がる場合は、再播種も検討する必要があります。
すでに播種適期を 2 週間ほどすぎており、生育量の確保が難しくなっています。
できるだ け播種量を増やして対応してください。
<H23 大豆作最初の大きな試練です。今年こそ多収と良質をねらうためにも 力をあわせて乗り切りましょう。>