TOP > 特別栽培米の眞木優 日記 > 3/20【稲苗代準備…麦鋤込で緑肥作戦】
お勉強…出典:雪印種苗㈱
圃場にすき込まれた緑肥作物は土壌中の微生物によって分解されます。
緑肥作物は大きく3つに分けることができ、「糖類分解期」→「セルロース分解期」→「リグニン分解期」の順に分解が進みます。
<中略>
一般に分解期間は夏場で土壌水分が十分であれば3~4週間で足りますが、低温期にば分解に時間がかかるため、分解期間も十分にとってください。
1 物理性の改善
①土壌の団粒構造の形成
緑肥による粗大有機物の鋤き込みは土壌中の孔隙率を増加させ、単粒化した土壌粒子を団粒化します。ここに有用微生物群が繁殖し、様々な効用が期待されます。全ての緑肥に共通の効果ですが、特に根系が発達したイネ科作物跡の効果が大きいです。
②透水性の改善
深根性の緑肥作物の根は土壌中に深く侵入し、透水性・排水性を改善します。
2 化学性の改善
①保肥力の増大
土壌に鋤き込まれた緑肥作物は微生物に分解され、腐植となります。腐植は肥料成分の陽イオン(Ca2+、Mg2+、K+、NH4+等)を吸着し、土壌の保肥力を増大させます。
②塩類除去(クリーニングクロップ)
ハウスの過剰塩類を緑肥に吸収させ、搬出することにより、土壌塩類集積を回避できます。
③空中窒素の固定
マメ科作物は根に根粒菌が着生し、それが空中窒素を固定し、土壌を肥沃化します。
④菌根菌によるリン酸の有効利用
菌根菌が着生する緑肥はリン酸の利用率を高めます。
3 生物性の改善
①土壌微生物の多様性の改善
作物の根はムシゲル(糖類の一種)を放出し、根圏にはこれをエサとする多くの微生物が増殖します。根群の豊富なイネ科ほどその効果は高いです。
②土壌病害の抑制
緑肥作物の導入は連作を輪作体系化し、主作物の土壌病害を軽減します。特にイネ科作物の豊富な根圏は有用微生物の増殖につながり、土壌病害の軽減となります。
③有害線虫の抑制
緑肥作物が作用し植物寄生性線虫の密度が減少することで、病害菌の侵入も減少し、間接的に病害の発生を抑えることができます。また、緑肥作物の根が発揮する効果以外にも、地上部をすき込むことで有機物が土壌中に還元され微生物相が豊かになり、被害は軽減されます。(※単一の微生物が占有するようになると被害は大きくなります。)
4 環境保全
①景観美化
花を咲かせる緑肥作物は地域の景観を向上させます。遊休農地対策にも活用できます。
②表土流亡・飛砂防止
作物の茎葉や根群は強風による表土飛散や集中豪雨等による表土流出を低減します。特に主作物の休閑期となる冬や夏に被覆の早い緑肥作物は効果的です。
③雑草抑制
茎葉で地表面を被覆して光を遮ることで雑草種子の発芽・定着を抑制します。除草剤の低減や省力化として、果樹園の草生栽培、果菜類の敷わら利用、畦畔緑化におけるカバークロップとして効果的です。
④防風・隔離
障壁作物は園芸作物への防風や隣接作物への農薬飛散を軽減します。農薬飛散防止作物(ドリフトガードクロップ)やタネバレイショの隔離作物として最適です。耐倒伏性に優れるものが使われます。
☝ 鋤き込み前
☝ 鋤き込み後
☝ 鋤き込み中(複数回往復して鋤き込み実施)